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Braids 2025 クリーブランド

1. 概要
第 6 回の組紐国際会議となる Braids2025 が、2025年 6 月 15 日~ 21 日にアメリカで開催されました。場所はオハイオ州クリープランドのケースウェスタンリザーブ大学(CWRU)です。現地の実行組織はアメリカ組紐協会(AKS)で、そのメンバーの Bob さんや Jane さんの地元でもあります。実行委員長として尽力された Giovanna さんは開会直前に急病となり、会期中を大学病院のベッドで過ごすという無念の状況でした。
会期中は著名な作家や研究者による基調講演、ワークショップが行われ、共にとても充実していました。参加者は 120 名、日本からの参加者は 12 名でした。CWRU キャンパス(写真左)内はリスやウサギが行き交う自然豊かなところで、クリープランド美術館などもあり、自由時間を楽しむことができました。

2. プログラム
基調講演は月・火・木・金の朝 8 時 30 分より約 1時間行われました。4 名の作家、研究者による講演を聴くことができました。
ワークショップは毎日様々なクラスが同時進行していました。1 日クラスが、32 クラス。2 日間クラスが、11 クラス。今回、4 名の日本人が講師として参加しました。3 名が組紐クラス、1 名がプライ・スプリットクラスを担当しました。ビーズ組紐、プライスプリット、手まりなどもありました。著名な先生方から学べる楽しいプログラムとなっていました。作品展は、ワークショップ講師による作品がクリープランド植物園で展示されました。様々なテクニックによる素晴らしい作品が一般にも公開されていました。参加者向けのイベントは会期中のマーケットプレイス、中日のクリープランド美術館・植物園などの見学がありました。また最終日には、夕食会、参加者作品のオークション、また AKS の創設メンバーであったスーザン・バッシュが遺した作品も展示されました。

3. 基調講演
世界の組紐と織物の様々な側面をテーマにした基調講演が毎日行われました。
地元クリーブランドで地域活動をしているジェシカ・ピンスキーさんの「テキスタイルアートを通じたコミュニティ作り」は、染色や織物を交流の手段として、若者や移民を巻き込んだより良い地域作りのお話でした。
「幅は狭いが可能性は無限大」というタイトルのお話をされたのはアニー・マクヘイルさんでした。インクルルームを使った作品を中心に紹介されました。
フィンランドの民族衣装を着て壇上に登られたマリー・ボイピオさんの講演は「北欧で 18 世紀から 20世紀に作られた宝石のような組紐」で、まさしく光り輝くブレイドをたくさん見せてくださいました。
最後の日は多田牧子先生の「組紐復元技術」に関する興味深いお話でした。組紐の知識がない依頼主の要望に沿いつつ、できるだけオリジナルに近いものを作ろうとされる先生のご苦労が垣間見られました。
4つの講演のビデオは、アメリカ組紐ソサエティのウェブ上で有料ですがまもなく見ることができるそうです。

会場のケースウエスタンリザーブ大学 ワークショップ ループ組紐(講師:Jean Leader)

4. ワークショップ
ワークショップは毎回の国際会議でも主要プログラムです。今回も多彩なプログラムで行われました。組紐のクラスは合計 22 クラスもあり、ジャンル別では一番でした。日本人講師の組紐クラスは大変人気があり、ほとんど満席でした。
高台:4 クラス
・John Whitley : 広幅の高台組紐
・Terry Flynn : アンデスの頭帯を高台で組む
・Barbara Walker : プライ・スプリットで飾られた高台の平紐
・Yuko Yoshida:高台で「木の葉組」を組む
綾竹台:1 クラス
・Michael Hattori:綾竹台の組紐
丸台・ディスク & プレート、オクトプレート:11 クラス
・Carolyn Oliver Haushalter : 継目がわからないパターン移行方法
・Rosalie Neilson : 内記組の影響を受けた金剛組
・Yuko Yoshida : 丸台で「木の葉組」を組む
・Adrienne Gaskell : Beaded fob necklace、 フ サ な しのビーズ組紐
・Adrienne Gaskell :「朝露組」老松組の発展系でビーズで朝露を表現したもの
・Bob Galivan : アンデスの組紐・新兵訓練
・Bob Galivan : アンデスの組紐・ビーズ平組紐
・Elliott Evans : 丸台で組む奇数玉の組紐・重打など
・Yuko Suzuoki : 形を変えられる組紐アクセサリー(オクトプレート)
・Ikuyo Nishi : 七宝レースとささなみ別れ(丸台とオクトプレート)
ループ組紐:4 クラス
・Joy Boutrup : ヨーロッパのループ組紐
・Ingrid Crickmore : 指にかけるループ組紐技法で作る筒状組紐2 3
・Jacqui Carey : クテ打で亀甲組
・Jean Leader : 経糸交差の投石紐(写真右)
組紐以外は、プライスプリットの 3D ネックレス、手まりなど、様々なワークショップがありました。細幅の織機・インクルルームが 4 クラス、プライ・スプリットが 5 クラス、カード織が 3 クラス、その他が 10 クラスでした。

5. 作品展示
クリープランド植物園のエントランスホールにて、講師による作品展がありました。一般の方々にも公開されており、さらに会期後も続けての展示でしたので、なかなか有意義な展示会だったと思われます。組紐やプライスプリット、織物系の作品などが立体的にディスプレイされていました

6. イベント
・マーケットプレイス
月曜日と木曜日の夕方にはマーケットプレイスが開催されました。素晴らしい作品、手作りの道具、書籍、材料が一堂に集まり、大変魅力的なお店がいっぱいでした。販売されるたくさんの品々に加え、マーケットプレイスでは先生方や参加者の皆さんと直接お話ができ、前回の会議以来、どのような活動を続けてきたのかを知るとても良い機会でした。
・見学会
クリープランド美術館のバックヤードツアーなどが行われ、通常は入れないバックヤード(舞台裏?)を案内して頂いたり、ユニバーシティサークルにある近隣の素晴らしい美術館や、植物園を各自で楽しみました。
・コンファレンスディナー
最終日(21 日)にはコンファレンスディナーがありました。またコンファレンスディナーと同じ会場で、参加者作品のサイレント・オークション(作品の横の紙に名前と入札値を黙って書く)、スーザン・バッシュの遺した作品の展示や、参加者の作品展がありました(写真 7)。サイレントオークションでは、AKSと The Braid Society のために 2,700 ドルが集まったそうです。そして、食事をいただきながら、Braids2025の実行委員の方々への感謝のプレゼント贈与などがあり、またバンド演奏などで最後の夜を楽しく過ごしました。次回の、Braids 開催地は未定とのことです。

7. 終わりに
今回、開催地クリープランドまでの直行便がなく、日本人参加者それぞれが、シカゴ、ロサンゼルス等、乗り継ぎでの参加となりました。飛行機が何時間も遅れ、夜中に到着と言うグループもありましたが、皆様、無事に参加でき、帰国出来て良かったです。日本からの参加者が 12 名と少々寂しさはありましたが、Braids2025 が開催されたことに感謝いたします。またの機会に各国の方々と交流できることを願います。(詳細はニュースレター19号をご覧ください)